どもども! さぅです。
社会人になってわずか5年で、3回も仕事中にスーツを破ったエキスパートです。
今日はそんなやらかした過去を振り返ってみます。
有益のゆの字もない記事なので注意されたし。
自動車セールス時代の話。
その日は、朝10時に新車の納車。
「来年くらいに買おうかな~」と言っていたのに、今ならセールでお値打ちにするからとムリを言って購入していただいたお客様だ。
最高の状態で納車したい。
唯一心配だった天気も、約束の30分前に雨がやんだ。奇跡。
これなら手洗い洗車しても間に合う! ついてるぞ!
高圧洗浄機で車に水を当てシャンプーをかける。あとは丁寧に拭き取るだけだ。
拭き残しがないように、背伸びしたりしゃがんだりしながら車の隅々まで拭きあげる。
これがよくなかった。
パンッ。
突然、自分の近くで鳴り響いた乾いた音。
まさか新車に何か当たった!??
冷や汗をかきながら慌てて車のボディをぐるーっと確認する。しかしどこにも傷一つない。
ほっと胸をなでおろす。
しかしなぜだろう。
尻付近がいつもより涼しい・・・。
綺麗にズボンの尻部分がバッサリ裂けていた。
おそるおそる被害範囲を確認。
裂け目は15㎝を優に越えていた。
パンツが完全にこんにちわしてる。
ズボンが天寿を全うしたようだ。享年2歳。
いやいやいやいやいやいや。
よりによって今!!?
納車の直前も直前なんだが?
タイミングが最悪にもほどがある。
腕時計を確認すると、時計の針は「09:55」を指していた。
与えられたタイムリミットはあと5分。
タイムリミット。
どうしよう。どどどどうしよう。
もう脳は軽いパニック状態!
パンツ丸出しで納車なんて前代未聞。ディーラー界の伝説に名を刻んでしまう。
落ち着け! 落ち着くんだ僕・・・!
とりあえず深呼吸して冷静にいこう。
どうする? 近隣の紳士服店に駆け込むか?
いや、この状態でお店に行きたくない。
レジが並んだだけで、後ろに並ぶ何の罪も無い人々にパンツをお披露目することになる。
というかそもそも買いに行く時間ねぇよ!
いっそのことお客様にネタとしてカミングアウトしてしまうか・・・?
今やそれがベストな選択肢に思える。
ところがこの時突然、僕の脳裏に新人研修の一場面がフラッシュバックした。
その日に水を差すようなことは絶対するなよ!
そうだ・・・。そうだった・・・。
納車はお客様のもの。
このままではお客様にとって今日という日が「新車を受け取った日」から「パンツ丸出しの営業マンから新車を受け取った日」になってしまう。
お客様には新車のことだけ考えてほしい。
一番気分が高揚しているであろう納車を僕の尻事情で汚すなんて許されない。
ましてや今日は最高の仕事をする。そう決めてお客様にプレゼントまで用意したじゃないか。
(逃げちゃダメだ・・逃げちゃダメだ・・逃げちゃダメだ・・逃げちゃダメだ・・・!)
そう思った僕は拭き上げを最速で完了させ、デスクに駆けた。
脳内BGM。
もちろん自動車販売会社にソーイングセットなどあろうはずもない。
何か。何か使えるものはないか?
デスクの中をガタゴトと探る。
も、もうこれしかない!!!
そう思った結果。
ホッチキスで乱れ打ちした。
多くは望まない。
納車の間だけバレなければそれでいい。
欲を言えばトイレでズボンを脱いで落ち着いて作業したかった。しかし最早いつご来店されてもおかしくない時間だ。
履いたまま黙々とホッチキスを打ち込む。
脳内BGMは、大事MANブラザーズバンドのあのメロディー。
負けないこと! 投げ出さないこと! 逃げ出さないこと! 穴をふさぐこと。
ズボンが駄目になりそうな時それが一番大事~♪
ホッチキスのせいで座ると尻がチクチクする。けど贅沢は言えない。何はともあれ穴は塞がったのだ。
ありがとう大事MANブラザーズバンド! ありがとうホッチキス!
もう君たちなしの生活は考えられない。
Yes I Can。
そして約束の10時。
時間通りにお客様がご来店された。
僕に残されたミッションはただ一つ。
「お客様にバレず、納車をやり遂げる。」
それだけだ。
背中の傷は剣士の恥。ズボンの穴は社会人の恥。
体の正面以外決して見せない接客を心がける。
なるべく自然に。念のため体の動きも最小限にとどめて尻を刺激しないように最大の配慮を配る。
努力の甲斐はあった。始まってしまえば恐れていたほどのことはなかった。これはイケる!
納車はつつがなく進行し、気づけば説明も終盤。
もちろんポジションはお客様の一歩後ろをキープ。
ちょうどこの辺りに・・・。
パァン。
裂けるにしてもまさか目の前でとはね。
そのあとお客様めちゃくちゃ笑われた。
救われる思いがした夏の思い出。
みなさんに一つだけアドバイスがある。
スーツが破れてホッチキスで応急処置をした場合、屈む動作は極力控えよう。
以上!
クソ役に立たない情報をお届けしました。
それではまたっ! See You Again!